今回は船員にとってある意味一番大事な給料に関する話です。
巷では「船員は高給取り」と言われていますが,本当にそうでしょうか?
ぶっちゃけ給料はどれくらい?
乗船勤務中と陸上休暇中で異なります。
陸上休暇中は基本給のみ,乗船勤務中は乗船手当等が付与されるので,陸上休暇中のおおよそ2倍の給料がもらえます。
役職別の目安:乗船勤務中
Capt.(船長)→ 150-200万円
C/O(一等航海士)→ 80-100万円
2/O(二等航海士)→ 50-60万円
3/O(三等航海士)→ 40-50万円
C/E(機関長)→ 120-160万円
1/E(一等機関士)→ 70-90万円
2/E(二等機関士)→ 50-60万円
3/E(三等機関士)→ 40-50万円
甲板部の方が若干高くなる傾向にあります。
これは甲板部は通信部の仕事も兼ねており,その分の手当が加算されていること。
また,当直の制度上,深夜に働くことも多いため夜勤手当が出るといったことが理由です。
個人的に,機関士ならではの苦労に対しても騒音手当,高温手当,危険物取扱手当などが支払われたら良いのになあと思っています・・・。
機関部より甲板部を優遇する雰囲気があるのは否定できません。
シニアクラス(Capt., C/O, C/E, 1/E)となると昇給に伴う給料の上がり幅が増えます。
ジュニアクラス(2/O, 3/O, 2/E, 3/E)では昇給しても給料はあまり増えません。
役職別の目安:陸上休暇中
Capt.(船長)→ 50万円
C/O(一等航海士)→ 30万円
2/O(二等航海士)→ 25万円
3/O(三等航海士)→ 20万円
C/E(機関長)→ 50万円
1/E(一等機関士)→ 30万円
2/E(二等機関士)→ 25万円
3/E(三等機関士)→ 20万円
陸上休暇中は基本給しかもらえないので,乗船中の半分程度になります。
普通に生活していく分には十分な額ですね。
諸手当も無くなるので,甲板部と機関部で額面の差はほぼありません。
ちなみに,陸上勤務になった時は
乗船勤務と陸上勤務の中間くらい金額になるようです。
一般的な大企業と同じくらいですね。
船員の給料はやっぱり高いけど・・・
船員の陸上勤務が一般的になったことや,
陸上職との給料格差を是正しようという動きがある中で,
船員の給料は昔と比べるとかなり安くなっています。
それでも,一般的な企業と比較するとかなり高待遇であることがわかります。
例えば三等機関士の場合,8ヶ月乗船+4ヶ月休暇というサイクルと仮定すると,
ボーナスも加味して,おおよそ以下の額面になります。
45万円/月 x 8ヶ月 + 20万円/月 x 4ヶ月 + 100万円(ボーナス)= 540万円
新卒でこれだけもらえたら十分すぎるくらいですね。
一等航海士の場合だと以下のとおりです。
90万円/月 x 8ヶ月 + 30万円/月 x 4ヶ月 + 200万円(ボーナス)= 1040万円
一等航海士になるのが30代半ばですから,
それくらいの世代でこれだけ貰える仕事はあまりないでしょう。
しかし,世間と比較すると高額ですが
本当に船員の仕事内容に見合った給料が支払われているかは疑問です。
長期間の船内での拘束,閉鎖的な人間関係,海上および船内での危険,不規則な生活などを加味するともっと給料をもらってもよいのではないかと,個人的には思います。
若者の船員離れが叫ばれていますが,まず給料を引き上げることが問題解決の前提だと思います。