とある外航船員の本音

外航海運会社で機関士をしています。

船乗りという仕事の魅力

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船乗りという仕事の魅力

船乗り,特に外航船員という仕事の魅力について,

今回改めて記述することにしました。

 

 

世界中を股にかけて働くことができる

国際航路の船乗りというと”世界を股にかけて働く”というイメージがあるかもしれません。

現代の船乗りもそのイメージ通りと言っても過言ではありません。

昔に比べると停泊時間が短くなりましたが上陸もできます。

ある意味,ちょっとした海外旅行ですね。

 

世界一大きなモビリティ(乗り物)を動かすスケールの大きさ

船舶は世界一大きな乗り物と言えるでしょう。

大きいものとなると全長400メートル近い大きさがあります。

東京タワーよりも大きいですね。

厚みというか重厚感も相当あるので,

高層ビルをそのまま横に倒した物体が海に浮かんでいる感じです。

 

外航船員になれば若くして,この世界最大のモビリティを操ることができます。

他にはない体験ができますので,達成感や充足感のある仕事と言えます。

 

運搬する貨物のスケールも世界一

世界一大きなな乗り物ですから,運んでいる貨物のスケールも世界一です。

例えば,小麦を運ぶドライバルク船であれば,

一隻の船で食パン7000万食分の小麦を運ぶことできるそうです。

スケールが多すぎてよくわかりませんね(笑)

 

石油タンカーであれば,二隻分の石油で日本で消費される一日分の石油が賄えるそうです。

それだけの量の石油ですから,金額にしても何百億円の単位になります。

責任は非常に重大ですが,その分のやりがいも大きいです。

 

文武両道の仕事である

船乗りというと酒・タバコ・女好きで「ガハハ!」と笑っている体育会系のイメージが強いかもしれません。

このようなイメージは本当にイメージでしかありません。

 

実際の船乗りは頭脳労働と肉体労働のハイブリッドです。

航海士であれば,刻一刻と変化する気象海象や他の船舶との位置関係,海図を読み解いて操船しなければなりません。

機関士であれば,プラントという主機や発電機などの相互関係を考慮しながら,

圧力や温度に基づいて科学的な推察と経験に基づいて,

機器を安定的に運用していく技術が求められます。

 

いわゆる3Kの職場で,それだけのこと考えなければなりませんから,

文武両道の職業であると言えます。

 

お金が貯まりやすい

船乗りの給与体系ですが,

基本給に加えて,乗船中は手当がつきます。

 

その手当の金額ですが,

乗船すると手取りの金額が陸上休暇中の2倍程度になります。

 

例えば,陸上休暇中に20万円もらっているとすれば,

乗船中は40万円程度になる計算です。

 

そして乗船中は使うところがほとんどありませんから,

必然的にお金が貯まっていきます。

 

仮に,乗船前に無一文だったとしても,

半年ほど乗船すれば,下船する頃には車一台分の購入できるくらいには貯まります。

 

陸上休暇中も基本給がもらえますので,

経済的に困ることはほとんどありません。

 

現に,私の身の回りで経済的に苦労している船乗りは見たことがありません。

 

休暇が圧倒的に長い

外航船員は他の仕事と比較すると休暇の長さは圧倒的です。

例えば,6ヶ月乗船したら3ヶ月の休暇がもらえます。

 

3ヶ月という自由時間はとても強力です。

学生時代のように海外を放浪することもできますし,

新しい趣味や事業を始めることもできます。

 

私の身の回りでも趣味の深い人が多いです。 

船乗りは陸上休暇という自由時間を活かして2つの人生を歩めるのです。

 

話題性がある

初対面の人に「船乗りをしています」というと大抵質問攻めにされてしまいます。

船乗りという仕事はやはり一般的ではないのですからね。

 

「漁師なんですか?」

「貨物船ってどこに行くんですか?」

「そんなに休暇が長いんですね!すごい!」

「船の中ではどういう生活をしているんですか?」

などなど。

 

美容院など初対面の人と雑談をする場ではネタに困りません(笑)

”船乗りである”ということは,話の掴みとしてかなり強力です。