外航船員になるためには船員を教育するための学校へ行く必要があります。
一口に学校といっても,大学や高専,大学校など様々です。
今回は,船乗りになるための学校ごとに,その特徴や学費についてまとめました。
進路に悩んでいる方へ,参考のために是非ご覧ください。
東京海洋大学と神戸大学
外航船員となるには東京海洋大学か神戸大学に進学するのが王道です。
これらの大学に進学するメリットは,
その他の国公立大学と学費がほとんど変わらないことです。
国立大学の授業料は535,800円/年なので,4年間で2,143,200円。
入試の受験料が17,000円。
入学金が282,000円。
以上を合計すると2,442,200円となります。
一般の国立大学で異なるのはここに乗船実習科の学費が加算されることです。
乗船実習科の学費:267,900円
ちなみに,乗船実習科の学費自体は東京海洋大学と神戸大学で同様です。
自分の好きな方を選びましょう笑
通常の学費と乗船実習科の学費を合計して2,710,100円の学費が必要になります。
高いか安いかは人それぞれかと思いますが,
私は個人的に安いと思っています。
国立大学の学費は私立大学と比べて圧倒的に安いですし,
何より大卒という肩書を得ることができます。
仮に船乗りの道を目指さなくなったとしても方向転換が容易です。
大学院という進路も選べますしね。
大卒の肩書に加えて,三級海技士の資格を得ることができますから,
将来的に食いっぱぐれることはほとんどないでしょう。
商船高等専門学校
次におすすめなのが商船高等専門学校です。
大島商船高等専門学校,広島商船高等専門学校,弓削商船高等専門学校,鳥羽商船高等専門学校,富山高等専門学校の5校あります。
西日本在住の方は上で紹介した神戸大学もあるので選択肢が多いですね。
授業料などの費用ですが,国立の学校ですので比較的安いと思います。
どの学校を選んでも費用の差はほとんどありません。
参考までに広島商船高等専門学校に進学した場合の費用をシミュレーションしてみましょう。
入学金:84,600円
授業料:234,600円/年 x 5年
教科書など:約30,000円
制服および作業服:約80,000円
学生会費など:約73,000円
合計:1,440,600円
東京海洋大学や神戸大学は2,442,200円ですから100万円程度安いですね。
しかし,高等専門学校に進学すると大卒の肩書が得られないので,
仮に船乗りの道を目指さなくなった場合に方向転換が難しくなるかもしれません。
「高専に進学したけど大卒の肩書を得たくなった・・・」という場合は大学に編入することが多いようです。
高専のメリットですが,最も早く船員になることができるという点があります。
中学を卒業して高専に進学して,ストレートで進級すると5年間で卒業することになります。
卒業後に半年間の乗船実習を受けて海運会社に入った場合,
なんと20歳で三等航海士/三等機関士として働くことができます。
大手海運会社の場合,月収は40万円程にもなりますから
同世代と比較すると遥かに高待遇であることがわかります。
ハタチ前後の若者がサラリーマンの平均年収(2018年統計:418万円)を軽く越えてしまいます。
平均年収ランキング2017(平均年収/生涯賃金) |転職ならDODA(デューダ)
まとめると最も早く且つ安く船乗りになるには高専が一番です。
ただし,途中で方向転換をする可能性がある場合は避けたほうが良いでしょう。
東海大学
単刀直入に言うと,私立大学なので学費が高いです。
概算ですが一年で約175万円かかってしまいます。
4年で卒業したとしても700万円かかってしまいます。
700万円の学費は経済的な負担が大きいので,
奨学金を取ることになると思います。
そうなると就職してから毎月返済をしなければならなくなります。
船員になることができればお金が簡単に貯まるので返せなくはない金額ですが,
もし船員にならなかった場合,返済に苦労する可能性が高いです。
また,大学のブランド力があまり高くないので
就職活動で苦労する可能性が高いです。
個人的にメリットはあまりないですね・・・。
海上技術学校もしくは海上技術短期大学校→海技大学校
これはちょっと裏技のようですが,最近は外航船員になる進路として一般的になり始めているようです。
以下の二通りのパターンに分かれると思います。
①中学を卒業後に海上技術学校に進学し,卒業後さらに海技大学校へ進学する
②高校卒業後に海上技術短期大学校に進学し,卒業後さらに海技大学校へ進学する
①の場合,海上技術学校へ3年,海技大学校へ2年間通うことになりますから,
入社時点での年齢は20歳となります。高専と同じですね。
②の場合,海上技術短期大学校へ2年,海技大学校へ2年間通うことになりますから,
入社時点での年齢は22となります。大卒者とほぼ同じです。
この進路も国立の学校に通うことになるので学費はそこまで高くありません。
①の場合,海上技術学校の学費は無償です!
②の場合でも授業料は166,800円/年ですから,2年間で333,600円です。
①と②のどちらに選んでも海技大学校へ進学することになります。
海技大学校の入学金が194,900円で授業料が390,000円/年ですから
194,900 + 390,000 x 2 =974,900円
以上合計して
①の場合,974,900円
②の場合,1,308,500円
となります。
安く且つ早く船員になれることは大きなメリットです。
デメリットとしては前例が少ないということが挙げられます。
世の中は前例がないことを嫌います。
船の世界は外界と隔絶された空間であるため,なおさら慎重になります。
前例が少ないということは,採用してもらえる確率が下がるということです。
私の知り合いに一人,海上技術短期大学校から海技大学校へ進学して大手海運会社に入社した方がいますが,
やはり就職活動では苦労されたようです。
大手海運会社の自社養成コース
すでにあなたが大学生であるならば最も理想的な進路はこちらです。
川崎汽船株式会社 2019年度新卒採用サイト - 募集要項:海上職(自社養成コース) | RECRUIT 採用情報 | 川崎汽船株式会社 2019年度新卒採用サイト
大手海運会社の実施する自社養成コースの訓練生として採用されると
海技大学校で2年間の訓練を受けることになります。
その間の訓練費用は全て会社持ちで,訓練中もきちんと給料がもらえます!
メリットとしては大卒という肩書を得ながら,船員になれるという点です。
東京海洋大学や神戸大学に代わる新しい存在となるため業界内でも注目されています。
デメリットとしては各社とも採用数が少ないため,狭き門となる点です。
就職活動をする場合,自社養成コースだけに絞るのは避けたほうが無難でしょう。