とある外航船員の本音

外航海運会社で機関士をしています。

外航船員の台所事情

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長い時は1ヶ月以上陸を離れてしまう外航船員。

 

映画やドラマの視聴も娯楽の一つですが, 

長い航海の中では食事が数少ない楽しみの一つでもあります。

船内での食事はどのようになっているのでしょうか。

 

今回は船員の台所事情について記事にしてみました。

是非御覧ください。

 

司厨部というコックさんたち

外航船には船内の食事を作る専門の人たちが乗っています。彼らを司厨部といいます。

司厨部も正式な船乗りですから、そのための免許が必要です。

外航船の場合、司厨部はフィリピン人クルーが務めることが一般的です。

司厨部のフィリピン人クルーは日本食の研修を受けているため和食

 

カレーは週イチではない

船乗りの食事というとカレーをイメージする人も多いでしょう。

何故カレーをイメージする人が多いのかというと、

昔船の中で曜日感覚を失わないために金曜日の夕飯をカレーにするという慣習があったからだそうです。

これは現在でも海上自衛隊では伝統として残っているそうですね。

商船の場合、この慣習は無くなっていることがほとんどで、決まった曜日にカレーが出る会社はあまりないそうです。

 

カレーの出る確率が高い日。それは・・・

曜日は決まっておりませんが、カレーが出る確率が高い日があります。

それは停泊時です。

なぜなら停泊時は人の出入りが激しいからです。

人の出入りが激しいと、必然的に分量の調節がしやすいカレーが作られることが多くなります。

また停泊時は乗組員も多忙なため、素早く食べられるカレーは有り難いみたいです。

本当はのんびりと味わいたいのが本音ですけどね・・・。

 

なんでもあります 刺し身も出ます

カレー以外に,航海中の食事にはどのようなものがあるのでしょうか。

船内には巨大な冷凍庫があり、食材はその中で保管されています。

ちなみにこの冷凍庫は三等機関士がメンテナンスするのが一般的です。

 

冷凍庫には基本的な食材ならなんでも揃っているので、

司厨部の手にかかれば一般的な料理であれば何でも提供することができます。

ファミリーレストランをイメージして貰えばちょうどいいかと思います。

ファミリーレストランには、一般的な料理なら大体なんでも揃っていますよね?あのイメージです。

 

意外かもしれませんが、お刺身や生野菜といった生鮮食品もあります

あまり美味しくはありませんが、全く出てこないよりは良いですね。

 

コース料理でちょっとした贅沢も

船によりますが、曜日によって和食か洋食か決まっていることが多いです。

昔、金曜日の夕飯をカレーにして曜日感覚を失わないようにしていたのと同じですね。

 

私が乗っていた船では週一で洋食が提供されていました。

夕飯はなんとコース料理で、メインディッシュのステーキを毎週のように食べていました。

船乗りは肉体労働も多いのでたくさん食べて英気を養わないといけません。

 

360度オーシャンビューのバーベキュー

船の中でも陸の世界と同じように宴会があります。

 

例えば,乗船者や下船者がいるときに歓迎会やお別れ会をします

天気が良い時には甲板上でバーベキューをすることもあります

 

バーベキューの時はフィリピン人クルーが張り切って豚の丸焼きを作るのが常です。

豚の丸焼きはフィリピン料理の1つとして有名です。

個人的に豚の丸焼きは頰の肉が一番美味です。

 

美味しさはコックさん次第である

上述しましたが,外航船の司厨部はフィリピン人クルーが務めています。

 

彼らは日本人の口に合わせた料理を作る研修を受けているので,

和食も含めた様々な料理を提供することができます。

 

しかし,研修を受けているとはいえ,彼らも人間ですから技術に差があります。

ほとんどのクルーは美味しい料理を振る舞ってくれますが,

中には納豆を天ぷらにしてしまったするフィリピン人クルーもいるそうです笑

一日頑張って働いた後に納豆の天ぷらが出てきたらたまりませんねw

 

幸い私の乗った船ではそのようなクルーに出会ったことはありません。

皆日本食をよく理解して美味しい料理を提供してくれます。