とある外航船員の本音

外航海運会社で機関士をしています。

海技士試験(口述)の受験記録!過去問紹介など

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私が受験した三級海技士の口述試験について,

覚えている限り,試験の内容を紹介してみたいと思います。

・性能曲線とは何か。何が表されているか

いきなり答えられなくて,どツボに嵌りました(笑)

何も思いつかなくて「常用運転範囲や連続運転許容範囲を示したもの」と解答をしてしまった。

正しくは「陸上試運転時の機関各部の温度,圧力,回転数などの測定値を示したもので,横軸に機関の出力(25%,50%,75%,100%,110%),縦軸に温度,圧力,回転数を表した図」という解答をすれば良かったらしい。

 

・クランク室を点検する際にどのような箇所を見るか

これは比較的簡単な問題だった思います。

私はまず「クランクピンボルトの緩み」と答えましたが,

試験官に「ではどうやってその緩みを確認する?」と掘り下げられました。

テストハンマーで叩く」以外の答え求められたのだが浮かんでこなかったのですが,

試験官は「合いマーク」という解答を求めていたようです。

 

・燃料消費率とは

この時点で前問にうまく答えられなかったこともあり相当挙動不審になっていました笑

自信を失いかけていたので余計なことは言わないように「『g/kWh』のことです!」と答えました。単位だけですね笑

試験官に「そうですね(ニコニコ)」と納得してもらえました。

 

・ボッシュ式の燃料噴射ポンプの構造をホワイトボードに描いて説明せよ

ボッシュ式の燃料噴射ポンプといえばプランジャの仕組みが大きな特徴です。

プランジャの図をホワイトボードに描いて切り欠き部の位置によって逃し穴を通過するタイミングが変化させて,燃料の噴射量を調節しています」と答えたら納得してもらえました。

 

・ボッシュ式燃料噴射ポンプでどのような故障かあるか

上の問題に続いて出題されました。

「プランジャの切り欠き部が破損したり,ポンプラックが詰まったりする」と答えたらOKでした。

 

・タービンプラントの概要を描いて説明せよ

タービン船に乗ったことがないので,深い内容までは問われませんでした。
練習船の大成丸のタービンプラントの概要図を覚えていたので,それをホワイトボードに描いて説明しました。

 

・主ボイラの構造について説明せよ

この問題もホワイトボードを用いて説明しました。

まずは水ドラムと蒸気ドラムの配置を描いて,その中に過熱器・過熱低減器・緩熱器がどのように配置されているか説明しました。

 
・燃料積み込みの手順の説明せよ

「燃料積み込みの手順を説明してください」と問われ,

どこから説明すれば良いんだ・・・」と一瞬固まってしまいました。

燃料タンクのサウンディングやスカッパープラグの閉塞など,具体的な作業を列挙していけば良いみたいです。

 

・ボリュートポンプとタービンポンプの違いを述べよ

まず構造的な違いの一つとして,案内羽根の有無があります。

原理の違いとしては,案内羽根によって速度エネルギを圧力エネルギに変えていることが挙げられます。
ボリュートポンプが低揚程大容量,タービンポンプが高揚程低容量であることを説明したら,納得してもらえました。

 

・極数とは何か

図を描いて説明してくださいと言われました。

 

・フレミング手の法則とは何か

フレミングの右手は発電機において磁束と起電力と力の向きを示す法則ですね。

モーターではないので注意が必要です。

 

・同期速度の式は。最終船の発電機の極数はどうだったか

同期速度の公式は Ns = 120f / Pです。

周波数fと同期速度Nsは最終船の値を覚えていたので,

そこから上式に代入して極数を求めました。

 

・証書を船内に掲示することに関する法令は何か

海事六法の船舶安全法施行規則の第四十条を素早く引くこと。

海事六法で条文を素早く見つけるにはある程度練習が必要です。

 

三級海技士の口述試験は海文堂の口述対策問題集をやり込め!

上記の問題のほとんどが海文堂が出版する『海技士3E 口述対策問題集』から出題されていました。

これをやりこんでおけば,よほどのことがない限り合格できると思います。

私は2週間ほど前から試験勉強を始めましたが,

本番では8割くらい解答することができました。

 

この口述試験に合格すれば総合合格となり,

晴れて三級海技士の海技免状を取得できます。

三級海技士の免状があれば外航船の機関士として船務に当たることができるので,

今後の船乗り人生のためにも非常に重要な試験です。

 

日本は島国なので海運はまさに日本の生命線です。

にもかかわらず船員は不足しているのが現状です。

 

日本の船員の半分以上が50代以上という統計がでていますが,

団塊の世代の大量退職により,船員の需要は今後も更に高まると予想されています。

 

実際に,海技免状を持っているというだけで採用してくれる会社は多いです。

上級の海技免状ともなれば,キャプテンや機関長を任せられるので,引く手あまたとなります。

 

今回海技免状を取ることができれば「海技免状があれば食いっぱぐれることはないだろう」という安心感が大きいです。

人生のセーフティネットが増えた感じですね。